内部監査情報局

内部監査のあれこれを趣味で発信しています

弁護士ドットコムが内部監査人を募集

弁護士ドットコム(6027・東証グロース)が内部監査人を募集しているようです。

勤務地:東京都港区
想定年収:600〜900万円
必須条件:①監査の実務経験(事業会社、監査法人コンサルティング会社等問わず)
②CIA(公認内部監査人)またはそれに等しい知識・経験をお持ちの方

2014年上場のWebによる弁護士営業支援および一般会員向け法律相談サイト運営
最近は電子契約事業に力を入れているようです。

ビジネスマンなら名前ぐらいは知っている有名な会社ですね。
売上高68億円、営業利益11億円ながら、時価総額は800億円近くあります。

筆者も興味ありますが、IT/Web業界の知見も求めているようなので難しいかな。
いつかはWeb系ベンチャーのCAEやってみたいですね。

出所:リクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)

内部統制非有効事例①

直近に開示された内部統制の非有効事例をご紹介します。

開示日:2022年5月25日
企業名:富士古河E&C(1775・東証S)
開示方法:訂正内部統制報告書提出
不備の類型:粉飾決算
不備の内容:退職給付債務の過大計上
該当プロセス:決算財務報告プロセス(固有)
担当監査人:EY新日本

同社が過去の退職給付債務の数理計算を見直した結果、計算方法に誤りがあり、退職給付債務を過大に計上していたことが判明。過去4年分の有価証券報告書などの訂正報告書を提出したとのことです。
これにより、退職給付引当金の見積に関する内部統制が不十分だったということで、開示すべき重要な不備と判定されました。

これは厳しい!
過大計上された4年間は会計監査人監査をクリアしていたわけで、隠蔽でもなさそうなのに、なぜ新日本は気付かなかったのか?
しかも、利益面ではプラスの修正です。

こんなパターンもあるんですね。
気をつけないと。

2021年度の内部統制非有効件数

3月期の決算発表も一巡しましたね。
内部監査人の皆様は、来月の内部統制報告書提出に向けて、J-SOX評価の追い込みに入っておられるのではないでしょうか。

さて、1ヵ月前の情報になりますが、東京商工リサーチが2021年度に公表された内部統制非有効件数をまとめていますので、要約を掲載しておきます。

「2021年度(2021年4月-2022年3月)に自社の内部管理体制の不備を開示した上場企業は41社(42件)だった。2012年度以降の10年間では最多を更新した。
決算・財務報告プロセスで決算処理の誤りを発見できなかったケースや自社や子会社で不適切会計が発生するなど、全社的な内部統制の不備を開示した企業が増えた。
内容別では経理や会計処理ミスなどの「決算・財務報告プロセスの不備」が19件(構成比45.2%)で最多だった。次いで、「全社的内部統制の不備」が18件(同42.8%)と続く。
上場企業の内部統制不備の開示は高水準が続いている。金融庁東証はガバナンスの向上に向けた指針整備を進めており、企業側も内部統制不備を防ぐ体制の構築が求められる。」

内部統制が有効でないと公表したのは、3,800社ある上場企業のうち約1%ですから、レアケースなのかもしれません。
しかし、我々が所属する会社がその1%に入らないという保証はどこにもありません。

内部統制非有効の多くは粉飾決算が原因ですから、発覚後は信用失墜、株価暴落、業績悪化、債務超過上場廃止、融資引き揚げ、資金ショート、身売り、倒産など、悲惨な経過をたどることが多いようです。
これを避けるには、地道に社内の逸脱行為に目を光らせるしかないのだと思います。

また時間のある時に、非有効の具体的な内容を調べてみたいと思います。

SHIFTが内部監査室長候補を募集

SHIFT(3697・東証プライム)が内部監査室長候補を募集しているようです。

勤務地:東京都港区
想定年収:800〜1100万円
必須条件:①会計士資格保有
②上場事業会社における内部監査および内部統制業務経験、またはIPO時の内部統制組織立ち上げ経験
①②いずれか必須

久しぶりの好待遇CAE案件です。
この会社は全く知りませんが、時価総額4,300億円もあるんですね。
ソフトウェアテストの受託事業が柱だそうです。

しかし、業績急拡大中とは言え、売上高460億円、営業利益39億円の会社の時価総額としては腑に落ちない。
2014年上場なのに立ち上げ経験を求めているのも、内部監査室に40代の公認会計士がいるのに室長を募集するのも腑に落ちない。
さらに、オーナー企業でM&Aに積極的…

ちょっと気を付けたほうがいい案件かもしれませんね。

出所:リクルートエージェント

トヨタ自動車が内部監査人を募集

トヨタ自動車(7203・東証1部)が内部監査人を募集しているようです。

勤務地:愛知県豊田市 or 東京都文京区
想定年収:546〜1416万円
必須条件:①内部監査実務経験(指導的立場で2年以上) or 財務諸表作成実務(同)
②英語でのメールや電話会議で不自由がないこと or 海外の大学(院)留学か海外駐在が通算2年以上 or TOEIC800点以上

時価総額国内トップの35兆円
言わずと知れた世界のトヨタが大規模な中途採用を実施します。

内部監査人は募集1名なので超難関ですが、想定年収のレンジを見ると、若手からベテランまで門戸を開いていると思われます。

こんなチャンスは滅多にないので、英語も監査実務も自信がある方は、思い切ってチャレンジしてはいかがでしょうか。

出所:リクルートエージェント

内部統制専門職の年収が増加

以下、本日の日本経済新聞からの抜粋です。

転職サービス「dodaデューダ)」の登録者を対象にした集計では、19年から21年にかけての平均年収の上昇幅が大きかった上位10職種には、技術系のプロジェクト管理者などに加えて会計(43万円)、財務(26万円)、営業企画(24万円)、内部統制(22万円)といった領域の専門職も入った。
「他社とのアライアンスを進めるための環境整備やビジネスモデルの創造、業態変革には、それらを支える専門人材が必要。外部から獲得する動きがコロナ禍を機に加速している」と喜多恭子doda編集長はみる。

内部統制専門職の平均年収は、2019年の599万円から2021年は621万円に増えたようです。

既述のとおり、内部統制・内部監査の人材は、需要が供給を大きく上回っていますので、平均年収のアップに違和感はありません。
むしろ、もっと上がってもいいぐらい。

経理や法務なども状況は同じで、そもそも出物が少ないので、良い人材がいれば多少無理してでも採っておきたいのが企業の本音だと思います。

しかし、転職する側としては、入社してからガッカリされないよう、知識とスキルを磨いておかなければなりません。
そのためには、取るべき資格は取り、目の前の仕事を真剣にやり、経験値を深めるのが早道かと思います。

内部監査部門の所属先

「月刊監査研究」2月号から興味深い数字をもう一題

サンコール(5985・東証1部)内部監査室長の吉田健一郎氏の調べによると、調査対象1,588社のうち、内部監査部門の所属先として最も多いのは社長で81.5%、次いでその他役員(おそらくCFOなど)が6.5%、取締役会が3.0%、監査委員会他が2.9%だそうです。

やはり内部監査部門は社長直属というのがスタンダードのようです。

一方、改訂コーポレートガバナンスコードで内部監査部門と監査役の連携強化が謳われたので、直接報告を要請されているCAEもいるかもしれません。
これについて、吉田氏は以下のような見解を述べられています。

監査役への報告が義務化されることで、監査役から何らかの指示命令が発せられる運用となれば弊害につながる。経営者からの指示との重複や乖離、更には新たな業務工数が発生して、内部監査部門の実行計画の足手まといとなるリスクが生じるからである。内部監査部門が、監査役業務の下請け機能を担う関係は禁忌である」

「足手まとい」という言葉がすごい。
実体験からでしょうか(笑)

しかし、筆者も同感です。
そもそも監査役と内部監査部門は監査対象が違うので、監査役は従来通り、内部監査部門との意見交換に留めるのがあるべき姿と思います。

改訂コーポレートガバナンスコードを盾に、監査役が暴走しないことを願います。